ミニマルなケア音楽

最近は、反復性を意識した、ミニマルな音楽も作っています。

音楽に限らず、反復というのは、ケアというものに深い関わりがあるように思います。

たとえば、人というのは、人生の中で、一回人からからかわれただけなら、誰でも気にせずに済ますと思うのですが、それが反復されて体験することになると、トラウマが形成される。

形成されたトラウマは、一回誰かからやさしく接せられるだけでは、なくならない。
トラウマは、今日もやさしくされた、次の日もからかわれない形で接せられた、その次の日の同じように接せられた、というのを、1年2年という単位で繰り返して体験すると、それがケアになって、トラウマから離れられるというものだと考えられます。

このことは、反復性のある音楽の持つ意味と、通じている。

一つのメロディーを、反復して聴く体験は、日常においてポジネガ問わず体験というものは少しずつ差異はありながらも反復されていく、というのと、アナロジーになっていると思います。

そして、ケアというものが起こるうえでは、やさしく接せられることの反復体験が必要。
その意味で、ミニマルミュージックは、ケア音楽になりうると考えられます。

音楽には、大音量でいちどきに気分が高揚し、それが気分の解放なり、感動になる、そういう音楽表現もあります。

一方、反復して味わうことで、日常経験とリンクして、意味を持つ音楽として、ミニマルという表現があると考えます。